HASHIGAKI

端書きです

ちょっと好きだって全然ちょっとじゃない

毎朝通っているコンビニエンスストアでいつもと違うお茶を選んであとで気付いたら525mlのペットボトルだった。最近、お茶のペットボトルは600mlなことが多いから、てっきりそのつもりで手にとったし、なんだか2口分くらい損した気分だなぁとか朝から思ってしまった。自分のその2口分が75mlなのかどうかはわからないけれど気分的なものでそういうのはね。なんでもかんでも当たり前のようにあると思っちゃいけないってことだ、きっと。そもそも当たり前なんてなかったんだった。誰が考えてもそうであるべきだと思うこと、当然なことやそのさまを当たり前って言うらしい。ということは人を助けることは当たり前のことだ!みたく使う言葉なんだろうけど、お茶のペットボトルが600mlだということについて、当たり前だなんておこがましいにも程があるな。ちなみにそのコンビニは朝いる店員さんが名札を見る限りでは、中国とか多分その辺の女の人だらけなんだけれども、終始無言でレジ打ちをしてくれる作業感が朝から色々たまらない気持ちにさせてくれるのでおすすめ。

高田馬場にマカロニえんぴつのライブ始めを見に行ってきた。全てを越えてきた。想像はしてたけど、やっぱり強かった。ミスター・ブルースカイの頭のドラムで全て持っていかれるあの感情に名前があるなら教えて欲しいな。これからどんどん名を上げていく若手バンドの総まとめを担った彼らだったけど、完全に全て持っていったなって思った。綺麗な歌声で、綺麗なギターの音で、明るいことなんていくらでも歌ってくれて構わないけれど、イントロでワンツー!掛け声なんていくらでもやってもらって構わないけれど、正直な話を表側と裏側からきちんと提示してくれるバンドのが強いんだなと実感できたいいライブだったし、今日みたいな無料ライブの日が、ライブハウスに人がもっと増えていくきっかけになったら素敵なことだ。バズるとかバズらないとか本当にアホほどどうでもよくて、ただ自分が好きかどうかそれだけなんだなって、それはきっと音楽だけの話じゃなかったんだなって。次のマカロニえんぴつは5月、の予定。音楽には、景色も匂いも気持ちも笑い声も染み込んで離れないから、だからこそずっと歌っていて欲しいな。マカロニえんぴつをこれほど好きになったことが、嘘にならないといいな、なんて思う帰り道の山手線だった。全然関係ないけれど今の山手線は画面がたくさんあってすごい。どこ見てたらいいかわからないね、ありゃ。染まりたくはないが側にいた暮らしがちょっと好きだなって思った。全然ちょっとじゃないんだけど。

マカロニえんぴつと渋谷の夜に甘すぎる感想

ずっと信じていたいと思う夜だったな。黙ってダッセぇ曲ばっか聴いてろよな。俺はマカロニえんぴつ聴き続けるから。そんな雑な感想しか出てこない帰路だな。

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初めてマカロニえんぴつのライブに足を運んだのだけど、最初は戸惑っちゃったよ。

なんつったって音源そのまんま流してるのかと思うような再現度合いなんだよ。いまどきそこらのアイドルグループでももっと雑だろ。いや、アイドルグループのライブに実際行ったことがないから偏見でしかないけど。それでいて音楽のことよくわからないけど、すっごいいろんな音がはっきりと聞こえてきて、オーケストラのコンサート見に来たかと思っちゃったよ。いやいや、マカロニえんぴつを好きになって初めてライブに足を運んでるんですけども。わざわざ小田原とかいうど田舎から渋谷の華やかな街まで足を伸ばしてきたんだけど、CD流したりオーケストラみたいな精度出すのやめてもらっていいですか、ねぇ、やめてもらえませんか。やめてもらえなかったんですよ。そもそもCDなんか流してないんですよ。そこで鳴ってたんですよ。そもそもオーケストラとかなんの話ですか、ロックバンドですよ。いやロックバンドなのかわからないし、そもそもロックバンドとはなんたるか仙人みたいなのがいきなり出てきてはいらんことばっか言い捨てて帰ってく流れを辿る必要が出てきてしまうから省略。もうすべて省略。生の夜をなめんなと。なめるのはせいぜいあれってもうやめてくれ。

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次々に新しいバンドが出てきては囃し立てられていつのまにかあの頃流行ってた、あの頃好きだったに変わってしまう。意外と消費期限短かったんだなとか思っちゃって、惣菜パンかっての。ソーセージの挟まった惣菜パンかよ今時のバンドは。少しくらい過ぎてても大丈夫だよっていうかせいぜいあったとしてもお腹壊すくらいだから。マカロニえんぴつなんていかにも惣菜パンみたいな消費期限を思わせるようなバンド名だなって思ってた。正直音楽を聴くまではそう思ってた。でも関係ないのね、バンド名とかっこよさは関係ないのね。Mr.Childrenとはいってもやってるのはいいおっさん達だしな。たしかに関係なさそうだな。あの人めちゃくちゃギター上手くてかっこいいけど、あの人が使ってるギター9800円らしいよやっぱ腕なんだねなんつって腹立つやつじゃないかよ。そういうギャップはずるいよって思うけどそもそも名前にあーだこーだ考えたのはお前だろって。ギャップもくそもあるかよ。生の夜をなめんな。

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あまりにもいいライブを観ると感情の整理が追いつかなくなって、言葉にしようとすればするほどどんどん薄っぺらくなってしまうからどうしたらいいかわからなくなる。でも本当に素晴らしい夜だった。マカロニえんぴつがすごく大好きになった。今両手いっぱいにグッズ抱えて帰ってきちゃった。もういいおっさんなのになぁ。グッズ買ったりして売り上げが少しでも力になったらとかくだらないこと考えちゃうよ。来年のミニアルバム絶対買うよ。ツアーも絶対行きたいよ。もっと大きくなって欲しい。本当にマカロニえんぴつが大好きになった。感想が小学生みたいだ。でもきっと、甘すぎるくらいがいいね、レモンパイも感想も。

町田でナキシラベを目撃した

哭く(泣き叫ぶ事)と調べ(旋律の意味)を合わせた造語

「哭き調べ」

ノスタルジック・エモーショナルな楽曲を由来に、勢いのあるライブパフォーマンスを武器とするドラマチックロックバンド

「ナキシラベ 」

 

などという、ホームページに記載のある紹介の文字だけでは足りないどころか借金して回ってもまだ足りないくらいに、今各地のライブハウスで精力的に活動している若き精鋭。

なによりも最大の魅力は、男女2人のボーカルが織りなす叙情溢れる歌声。まるで1つの物語に対して2つの視点を次々に切り替えながら照明を当てていくような進行を見せる。そしてそんな2つの「目」を支え後押しし、時に飲み込んでやろうかというような姿を見せる力強いサウンド。全てを混ぜ込み1つにするような身体の動き、パフォーマンス。これら武器を持つ彼らは観客の心を完全に引き込み、嵐のように爪痕だけ残し去っていくのだ。

私がいちばん最後に見たのは、昨年9月の小田原イズムだった。小田原の音楽の心の芯と言っても過言でなかっただろうソライアオのラストギグの日だったと記憶している。彼らが今年リリースした「phenomenon.e.p」の2曲目に収録されている「ao」を涙ながらに歌い上げた姿に胸を打たれたあの日から気付けば1年以上も彼らを見ていなかった。彼らは昨年と同様、神奈川県小田原市を背負ってステージに立っていた。ただ今夜、1年以上ぶりに見た彼らは、出会った全ての街と仲間すらも背負ってステージで素晴らしい夜にしていた。彼らの成功は、きっと相当の数の人々にとっても大きな成功となるに違いないと確信した。もちろん、小田原が地元である私の心を1片も残すことなく突き上げてくれた。もっとライブハウスで多くの人に目撃され、今よりもずっと大きなステージで鳴らしぶつけ続けて欲しいと思えた町田の夜だった。大きく深く爪痕を残しながらも、快晴を導くのが、本当に強い嵐なのだ。