HASHIGAKI

端書きです

マカロニえんぴつは2020年に若者の希望となれるか

 

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ツアーの初日に足を運んでこの記事を書いた頃、まだ今日ほど寒さは進んでいなかった。いつだってそうだ、線引きをどこに見つけることもないまま秋は冬を迎え、陽は伸びたり短くなったりしていく。いい人が好きな人に変わる瞬間もここだという部分はないし、男だとか女だとかで決めつけたりない心が尊重されている現代において時に、きちんと目に見える区切りをつけない方が良いことも多いように思える。春から夏、夏から秋、秋から冬、そして春。季節の移り変わりや、若者とそうでない者との区切りもまた、探しても見つかることがない。

17箇所19公演を巡ったマカロニえんぴつのツアーが千秋楽を迎えた。彼らがツアーファイナルの舞台として私達の手を引っ張り連れてきたのは、東京は赤坂、マイナビBLITZ。1400人を超える大ステージは大きく空間が拡がり、高い天井には無数の照明がぶら下がり、曲中の彼らを彩る。客席を曲の世界へと誘い、ステージの上も下も1つに包み込む。ここまでの人数が集まるライブとなれば演者は代表者だ、と思う。私達の代弁者だ。口に出したら嫌われる。取り繕って取り越し苦労する大損の毎日を、切り取ってくれる光。そして希望である。

公演の最後に発表された4月にリリースされる2年振りとなるフルアルバムのタイトルは「hope」そしてそれに伴う全国ツアーの発表。マカロニえんぴつは私達の日常の希望になれるだろうか。タイトル通りの作品を届けてくれるだろうか。

そもそもこれだけチケットが取れない人気があるとわかっていて、落選の憂いを体感しながらも、発表されるツアーのキャパシティが大きくなっていくことに対するこの胸の高鳴りはなんだ。100が200になり、200が500になり、500が1000になり、1000が3000になる。私達が本当に望んでいるのは確実にチケットが当選するファンクラブなんかじゃない。ちっぽけなこの想いを乗せたこのバンドが、私達ごと未来を背負ってくれる光景なのかもしれない。期待はマカロニえんぴつの音楽を望む毎日とこれからも続く。ホープ。この1枚で未来を担うバンドになれるか。彼らのこれからに注目するのは世間か、私自身か。

 

誰かと同じ時間を分かち合いたいから余分にチケットを取ろうとして取れない。取れても当日まで余ってしまったりする。手に入れたい公演と全く関係ないのない公演のチケットの交換希望を出したりもするし、周りの人に気を遣うこともなく、無理矢理割り込んでいったり、ここが見えやすいからと通路を塞いでしまったり演奏中の合間に話し声をさせてみたりもする。インターネットの手軽さに身を預けては接点を作ろうと奮闘する。自らが置かれている環境でそんなコミュニケーションを取ろうと考えることはせず、周りには誰もいないと膝を抱える。日々の溢れるほどの愛の強い流れの中で、リズム良く息継ぎができないだけで愛されていないと溺れていく。とにかく勝手なのだ。傲慢で身勝手なのが私達、若者なのだ。

決して美しくない私達のことを、私達に代わって彼らは胸を張り音楽に変えてこう叫ぶ。「僕らは美しい」


マカロニえんぴつ「ヤングアダルト」MV

 

【マカロニえんぴつ2020年1月12日ツアー千秋楽 セットリスト】

01. 青春と一瞬

02. トリコになれ

03. レモンパイ

04. 恋のマジカルミステリー

05. 眺めがいいね

06. MUSIC

07. 愛の手

08. ワンドリンク別

09. 幸せやそれに似たもの

10. TREND

11. STAY with ME

12. ブルベリナイツ

13. あこがれ

14. 二人ぼっちの夜

15. 洗濯機と君とラヂオ

16. Supernova

17. ハートロッカー

18. ヤングアダルト

En.19.恋人ごっこ(新曲)

En.20.ミスタブルスカ

 

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